志村双葉の徒然コラム


心を育てる妊娠中の過ごし方(1)

心を育てるために一番最初にしてあげられることは、実は妊娠期間中の過ごし方にあります。
妊婦さんに「赤ちゃんはもう何か感じていると思いますか?」と問うと、大抵は「感じていると思う」という答えが返ってきます。
でもそれを、「心が育ち始めている」と言われてもピンとこないかもしれません。 心を育てるスタートラインは、極端な話、妊娠した瞬間から。そしてお腹のなかで人間の形を持ってきた頃には、もう子供の心はあると思った方がよいのです。 では、その育ち始めたばかりの心をどう育てていけばよいのでしょうか?
別に、妊娠期間中ずっと清廉潔白に過ごせというのではないのです。大切なのは、人としてきちんと配慮して過ごす、ということ。 まず「あなたがいることは私にとってすごく誇り」「あなたがいてうれしい」「早く一緒に暮らしたいわ」というポジティブな思いをお母さんが持っていれば、子供は基本的に「このゆりかごは安心ゾーン」と思う。「お母さんはあなたに対して、ちゃんと気持ちを向けているよ」ということが分かっている子は、落ち着いた子に育ちます。でも無視されていて、「これはいないもの」として扱われていると、子供の心はすごく不安になる。
例えば、狭いエレベーターに見知らぬ人と二人で乗っていることを想像してみてください。狭い空間にずっと一緒にいることは、気詰まりだし不愉快なもの。そうしたら、少しでも不愉快でなくするために、やっぱりそこでは気を配る必要があると思うのです。一方が体を動かす時には相手に「ごめんなさい」と言うし、世間話もするかもしれない。しかも残念ながら一人は自由に動けない状況です。そうしたら、自由に動ける若干有利な立場の人間は、不利な立場の人間に対して配慮すべきではないかと思うのです。 「今のうち」という気持ちで、夜遊びに行ってしまう、車に乗ってがたがた揺れる、激しい運動をする‥お腹の中で子供が振り回されているのに何の配慮もなかったら、その時子供には「袖にされてる」と感じるはずです。
相手の気持ちを配慮すること、「気をかける」ことができるのは、人間のすばらしい能力だと思います。 相手が体内にいようと、体外にいようと、このコミュニケーションの姿勢は同じです。

妊娠してから3、4ヶ月目に、胎児は人間としての形をおおむね全て整えます。血液を介してお母さんの体から栄養を摂取し、子供の体は、人生の中で最も著しい成長をしていきます。ここでお母さんがしてあげられることは、白米・白砂糖などの精製されたものを食べないこと。精製されたものは体の中で消化吸収される際、体の中のタンパク質と結合し、タンパク質を消費して排泄されるからです。この時期は、子供のために最もタンパク質を送り届けてあげなければいけない時期ですから、出来れば食べない方が良い。まずは、この体を育てる基本の時期を大切に過ごしたいものです。
2007/Apr 志村双葉