企業の業績が上向いている現在、人材を確保することに、ようやく目を向けるようになった企業も増えています。しかし、新卒の社会的な能力が低下してきているため、それを従来の基準まで引き上げようと思ったら、非常な教育・投資が必要になってきています。そのため、採用してから、十分な教育をしないまま、すぐに現場に投入しようとする傾向が見られます。
これから就職をしようとする人にとっては、「就職」をしたからと言って「就社会」にはならないということ、社会人として必要な基本的なスキルの部分は自分で獲得する努力をしないと、採用されてもその後で苦労することになる、ということを意識してもらいたいと思います。
ここ何年か、「就職」の門をくぐって入ってくる人たちを見ていると、ネットでいかに自分をアピールするかというような小技には長けていても、志を磨くこと、大切な基本的な部分が欠けているなぁというのが実感です。
でも自分に足りないものに、早く気付いた人は、それだけ早く社会的スキルを身につけていける。奢っていると何も気が付かず、どんなに技術があっても、成長も出世もできません。「自分が気が付かない」ということに気付いて、初めて社会のスタートに立つということを自覚しておきましょう。
よくお話するのは、就職の段階で自分に何ができるのか、どの会社に一生勤めるべきかなんて、分かるはずもない、ということです。ですから、まず社会に入ることが大事なのです。それは正社員でも契約社員でも構わない、仕事をきちんと仕事として認知してできるようになるまでは、「自分には何の仕事が合っているのか」なんて分からない、と思っていた方が良い、ということです。
かといって何でもいいというわけでもない。22歳の段階で出来ること、向いていること、好きなことの方向だけ分かっていれば、その方向のどれかに踏み込んでいけばいいと思う。そして大切なのは、一度入ったら3年はいること。ひとつの仕事が分かるには、1000日はかかるからです。
「就職」することで満足せず「就社会人」たるべく、努力していっていただきたいと願っています。
2006/Sep 志村双葉
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